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2010年12月20日 (月)

水くみ(たぶん2004年のこと)

山梨へ水汲みに行ってきた。穴場の温泉も紹介しよう。
三月に汲んできた水が底を突いたので、5/4山梨へ出かけてきた。前回は御正体山の表登山口の都留市細川のわき水で、娘と二人で行った。まだまわりに雪が残っていて陽は射していたが肌寒い日だった。我々が終わったあたりに、道志方面からボックスカーが一台現れてタンクを下ろしはじめた。この日は、都留市が郊外につくった比較的新しい温泉に入って帰った。市民は5百円だがよそ者は7百円だ。その差に釈然としない。
こんども、そこにするつもりで向かったが、高速道路に乗った途端に気が変わった。渋滞していたのである。ちょうど一年前の連休にも水汲みに出かけた。この時期、近年は毎年Yがドイツに長期出張するので、子どもと三人になる。せっかくの連休だからレクレーションをかねて出かけるのだが昨年の渋滞は首都高から始まっていて動かない。どうせ道志に行くのだからと言って調布インターで下りてしまった。あの日は上も下も大渋滞で道志についたのは午後になっていた。おまけに「道志の湯」は満員で、新規開拓にも手間取った。結果『紅椿の湯』という新しい温泉を発見したが。
それを思い出して、今日は御正体山登山口も渋滞している可能性が高いと踏んで、別の場所にしようと直感的に思ったのだ。
そこで頭をフル回転させた結果、数年前に家族で登った大菩薩峠の帰りに立ち寄った温泉を思いだした。神社の脇にこの鉱泉がほとばしり出ていてそれは自由に汲むことが出来た。
場所はうろ覚えで名前もしかとは思い出せない。勝沼インターから奥多摩に向かうみちから少し入ったところという記憶があった。カーナビで探しているうちに岩間温泉という見覚えののある文字を見つけた。
それは勝沼から塩山市街を越えて、大菩薩への登山口、裂石の手前にあった。天気が良くて大菩薩嶺と峠から向かう間のはげ山の土色がよく見えた。ここまで塩山からはかなりの登りである。「一葉みち」という標識が見えた。山梨県は主要な道路に「道志みち」とか「本栖みち」など「○○みち」と名づけている。なかなか風情があって僕は気に入っている。そういえば樋口一葉の両親は塩山の出と聞いていたが、このあたりの生まれであったか。二人で江戸に出て、確か苦労して御家人の株を買ったはずだ。御一新後は、東京府に出仕したが早死にし、世帯は巡り巡って二女奈津(一葉)が継いだ。一葉はこの地を一度も訪れたことはないが、両親から故郷のことをよく聞かされていたらしい。井上ひさしの『頭痛肩こり樋口一葉』に母親多喜も登場する。なかで多喜はよく故郷を懐かしんだ。錦をかざるまではと、一葉を励ましついに帰郷したことはなかったという。
岩間温泉は、神社と隣り合わせである。明治四十一年に鉱泉として認められているからかなり古い。沸かしているが温泉の効能ははっきりしている。畳み四畳半ほどの広い浴槽に、ぬるい湯の小さなものがついている。透明なお湯でさらさらした感触である。広く開いた窓はあいにく山のほうに向いておらず、芝の植わった庭が見えるだけだが、解放感があるのはいい。連休だというのに誰もいない風呂を独り占めすることが出来た。穴場である。
水(鉱泉)を汲むときにあまりに勢いがいいものだから、タンクをかざした途端に水をはじいてズボンの裾からスニーカーまでびしょぬれになった。百年以上この勢いが止まらなかったのだろう。こんど来たときは気をつけなくては。
そして、こんどは一葉の文学碑があるという近くの天龍山慈雲寺も訪ねてみようと思う。

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