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2021年7月22日 (木)

広告コピーシリーズ「日本料理店」割烹 多かぎ

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前菜がすばらしい。
春を告げる魚、白魚を調味液にほんの数分つけて風干しにして、あぶったものに、菜の花の先を微塵に切ってふりかけた菜種干し。
わさびの茎をくらげで巻いた粕漬けは、ほのかな香りと辛さに不思議な歯触りの珍しい酒肴である。
卵黄を鰹の塩から、酒盗とあえたソースをかけながら焼いた蛤。竹の子の薄切りを巻いて揚げた海老に、湯葉で束ねた黄味そーめんなどいずれも凝りに凝った佳品と言える。
霞町から渋谷に向かうとおりに面した建物の地下、桜材の寄せ木でつくったカウンターに、お座敷が三つのこぢんまりしたお店である。
二十年前に開店した暖簾であるが、調理長の田中利夫さんを迎えるにあたって、現在のような形に変えた。
常連の方が多いようだが、「結婚記念日という若いご夫婦などお見えになることもありますよ」と女将さんの安倍奈津子さん。東京調友会倶楽部の会長でもある田中調理長の招請に半年通い詰めであったという。
田中さんは、浅草の生まれ、戦後間もない昭和二十四年、銀座の料亭(器を焼く窯まで調理場にあった)に入り、四年半の修行を終えたときには「あんな厳しいところでよく続いたものだ」と言われた。
しかし、料理人にとって大事という「生い立ち(修行の過程)」のよさであろう。各地で腕を磨いたあと、二十代半ばという当時としては異例の早さで板長になった。最も長くつとめたのが本郷の料亭で、それは二十年近くに及んだ。その間調理場から出ることはなかったが、今度はお客さんと相対で仕事をするようになったので、最初は戸惑いもあったそうである。
「お客さんは、私の毒舌をよく聞いてくれますよ」と笑うが、四十三年の経験談は、時を忘れるほど面白い。
平成五年、「江戸の名工」授賞。

 

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