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2013年11月 3日 (日)

「竹葉亭」コピーシリーズ8

「竹葉亭」(木挽町)

江戸の末期、新富町で開業、いまのご主人で六代目という、うなぎの老舗である。震災後移転したが、意外にもこの木挽町界隈だけは、空襲の戦火からまぬがれた。現在の建物は、一部を除いて、七十年以上になる。とりわけ離れのお座敷は、昔の尺寸で作ってあるせいか、座るとしっくりと身体がなじんでくつろげる。

庭もいい。
百年はこえていそうな漆の木を中心に、となりには隠れ蓑という乙な名前の高い木が、下生えの笹や灌木、石灯籠や古井戸、竹矢来の塀などとともに素っ気なく、いかにも粋な風情を醸している。こうした情趣を愛する人は多く、中でも魯山人が足しげく通ったことはよく知られていて、あのような厳しく鋭い眼力にかなう数少ない料理屋のひとつと言える。

本格的な料理との組み合わせはごく早い時期に、うなぎを蒸す長い時間の繋ぎに出した付け出しから発展したという。万事手をぬかない主義がうなぎ懐石を生み出したのだ。いま、その日本料理を担当しているのが野沢徳治料理長である。昭和二十四年に入ってうなぎを修行し、一旦外に出て、江戸料理の名門をいくつかあるいた。このとき、飾らない実質本位の伝統的な関東風の技と味を身につけ、五年経って再び戻ってきたのである。

写真の角皿と割山椒は魯山人である。演出がむずかしいといわれる器を、これだけさりげなくあっさりと使いこなすには、料理の技量を超えた、ある成熟した境地が必要なのではないかと思う。五十年近い包丁人生だからこそ出来ることか。平成七年秋、東京都知事賞受賞。

Photo

ヒゲタ醤油「本膳」


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