「一色園」コピーシリーズ7
関西割烹「一色園」
土浦は、土屋家九万五千石の城下町であった。老中も勤めた譜代大名である。その城趾から少し北、旧水戸街道沿いの住宅地の中に、平地から不意にせり上がったような小高い山を背にした瀟洒なたたずまいの屋敷がある。
国家老、一色範畴が維新後の隠居所として武家屋敷の一部をここへ移築したもので、建ってから百二十年、資材はそれ以上の年月を経ている。柱や梁は時の流れを映してさすがにおいてはいるが、ぬくもりのある木膚と、障子からさす柔らかい光に囲まれていると、心の底から懐かしさが感じられ、思えば、僅か百年の間に、途方もなく遠いところまできたものだという感慨も湧く。
ご主人の一色則武さんは、隠棲した国家老の曾孫にあたる。やがて住むものもいなくなるこの屋敷を生かし、料亭をやろうと思い立って、関西料理の老舗で修行することからこの世界に入った。
小堀遠州の流儀で作られたという庭を朽ちるにまかせるのは惜しいと思ったそうだ。
清水の湧き出る池を中心に枝振りのいい松が植えられ、灌木が配されている。圧巻は庭の奥が急峻な山になって立ち上がり、椎、樫、椿など樹齢二百年を超える自然林が黒々とパースペクティブを描いていることだ。
夜、ライトアップされたこの景観を見ながら食事したいという海外からの客人も多くて、献立の中に朴葉で包み焼きするステーキを加えているという。
写真はそれと、小鯛の巻繊蒸しに茨城の海でとれたあいなめの煮物である。
十六年前の開店だが、少しづつ増築をして今では比較的大きな宴会も出来るという。
もっとも、四季折々、昼夜それぞれの表情を見せる美しい庭をながめながら、静かに酒を飲んでいたい所だとは思う。
予約さえすれば、どなたでもこの静かな時を味わうことが出来る。
ヒゲタ醤油「本膳」
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