劇評「天守物語」
中劇場の客席に張り出した舞台。下は奈落の底に暗く落ちていて、三尺ほど低く舞台を取り巻いた回廊が、一段高くなった奥舞台の下に潜り込んでいる。この奥の舞台は、幅一間ほどの長い板が二重三重に上下して、人物の登場に合わせたり,場面によって高さが自在に変化する。美術の小竹信節が中劇場の仕掛けをうまく引き出して、ここが五層の最上階であることを表現しようとした。上手手前に舞台に登る四、五段の階段。奥にホリゾントはなく暗闇である。 その闇に稲妻が光り、ひとしきり激しい雷鳴が轟き渡るとやがて驟雨の気配。 一条の光が舞台に差し込んで、白いシャツに白ズボンをはいた男が伸ばした片手を枕に横たわっているのが浮かび上がる...



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